●山上さん

目標としていた黒帯を取るまでの過程は、体力的にも精神的にも大変な時もありましたが、振り返ると、届いていないものに向かって努力することは、楽しかったと言えます。

全くの初心者だった私にここまで空手を教えていただき、また今回の貴重な機会を与えてくださった師範に感謝しています。

また、審査を受ける当たり、様々な面でアドバイスをくださった方、稽古でお会いした時に声を掛けてくださった方、稽古後遅くまで筋トレやストレッチに付き合ってくださった方、当日応援してくださった方、組手の相手となってくださった方、そして、一緒に審査に臨んだシャムさん。道場の皆さんの存在が本当に有難く、心の支えでした。

審査を受けた正直な感想は、自分はまだまだ下手だな、ということです。いただいた帯の色に見合うよう、稽古を続けたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

●シャムさん

シャムさん

今の時期、私のふるさとであるアメリカでは「サンクスギビング」という祝日にあたります。

サンクスギビングは、一年を振り返り、自分の生活に起きた事を感謝するための日です。今年は、黒帯審査を受けるチャンスを得た事に対して、とても感謝しています。

6歳ぐらいの時はアメリカに住んでいて、お母さんが私を空手道場に入会させました。その道場では、全生徒が「道場訓」を覚えて、稽古の前に暗唱しなければいけませんでした。「道場訓」というのは、道場の基本原則で、生徒達はそれを守らなければなりません。

その時、私はまだ小さくて、何かの理由で道場訓を暗唱したくありませんでした。空手の先生に怒られて、「シャムは悪い生徒です」ということをお母さんに伝えました。道場訓を暗唱しない限り、空手の稽古に参加することが禁止になりました。私はとてもがんこで、協調したくなかったので、空手を辞めさせられました。

その20年後、仕事のために日本に引っ越ししました。子供の時に、空手を辞めたことをずっと後悔していました。だから、日本にいるのは、もう一度空手を始め自分を償うチャンスだと思いました。代官山空手スクールを見つけ、入会してみました。稽古に対して、全力を尽くすことを自分に約束しました。

今年になって、斎藤師範から黒帯審査を受けますか、と聞かれました。空手スクールには3年間しか通っていないので、とても光栄でした。審査のための準備は大変でしたが、全力で行うことを決心しました。ほぼ毎日、腕立てや縄跳びを練習していました。精神力を強めるために、大好きなアイスクリームを食べないようにしていました。

審査のための準備は厳しかったけど、11月15日の土曜日に黒帯審査を合格しましたので、期待した結果が得られました。子供の時に、空手を辞めたのに、大人になって成功して、とても嬉しかったです。

空手道とは「旅」のようなもので、黒帯を達成するのは、実はその「旅」のスタートラインだそうです。大事なのは帯の色ではなく、むしろ、鍛錬のプロセスや人としての成長だと思います。黒帯にはなりましたが、これからのトレーニングや自分の成長をとても楽しみにしています。

これからも、どうぞよろしくお願い致します。押忍!